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インプラントってそもそもなに?

インプラントとは、医療器材を人の体に埋め込むことの総称です。心臓のペースメーカーや人工関節、美容目的で入れるシリコンなど、これらもインプラントの一種なのです。歯科で使用されるインプラントは「歯科インプラント」「デンタルインプラント」などと呼ばれますが、歯科インプラント治療が普及してきたことにより歯科インプラントを「インプラント」と呼ぶことが一般的になりました。

インプラント治療は、ブリッジや入れ歯と比較して残っている周りの歯を削ったりすることがないので審美的・機能的にも優れている治療で、第2の天然歯なんて呼ばれることもあります。 ここでは、インプラントのこと、インプラント治療のことを知りたいかた、インプラント治療を検討しているかたに知っておいてほしいことをまとめましたのでチェックしてみてください。

インプラントの歴史

歯科におけるインプラントの歴史はとても古く、ヨーロッパで紀元前3世紀ごろに栄えた古代ローマ帝国時代の人骨に鉄製のインプラントが埋め込まれているのが発見されています。このときすでにインプラントを利用した治療が試されていたと推測されます。そのほかにも南米で紀元前7世紀ごろに栄えたマヤ文明時代の人骨に貝殻で作られたインプラントが埋め込まれているのが発見されています。 かなり昔から歯を治療するための技術が進んでいたのかもしれません。

1901年には、歯科医師のグリーンフィールドが白金インジリウム製の円錐台上で格子造りの鳥かご状骨内インプラントを考案しました。そして、1913年に円筒状に改良した構造が、近代インプラントの始祖として評されています。
※参考文献:畑 好昭「今と昔のインプラント」

現代の安定した治療として確立されているインプラントの原型は、1950年代にスウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士の研究チームによって、チタンと骨が拒否反応を起こさず結合(オッセオインテグレーション)することが発見され、その後の研究を経て1960年代から人に対して応用が始まりました。

インプラントの形態は大きく2つのタイプに分けられ、歯根(=歯の根っこ)の形態に似た「ルートフォーム」と、板状の「ブレードタイプ」があり、「ルートフォーム」が現在の主流になり、開発・普及しています。

インプラントの構造

インプラントの構造

インプラントは主に3つの部品でできています。

1.歯を失ったあごの骨の部分に埋め込む人工歯根(フィクスチャー)
2.その上に取り付けられる土台(アバットメント)
3.歯の部分に相当する人工歯(上部構造)

この3つを組み合わせ、上図のように歯を失った場所を補うのがインプラントです。 あごの骨に埋め込むインプラント、アバットメントの素材ですが、多くの歯科メーカーでチタンもしくはチタン合金という金属が採用されています。身体との親和性が高く、金属アレルギーが起こりにくい素材です。現代の安定した治療として確立されているインプラントの原型は、1950年代にスウェーデンのブローネマルク博士らによってチタンと骨が結合することが発見され、その後の研究を経て1960年代から人に対して応用が始まりました。
インプラントにチタンが使われるワケ

インプラントの種類

現在ではインプラントシステムは全世界で100種類を超え、日本国内でも、販売が認可されたメーカーは国内外で30社を超えているといわれています。その数あるインプラントメーカーのなかでも、歴史と実績、品質と信頼度が高いといわれている代表的なインプラントメーカーは以下の4社です。

・スイスのストローマン社
・スウェーデンのノーベルバイオケア社
・スウェーデンのアストラテック社
・アメリカのジンマーデンタル社

もちろん国産のインプラントメーカーにも品質と信頼度が高いものもあります。

・京セラメディカル社
・プラトンジャパン社
・GC(ジーシー)社
・松風社

日本国内では主にこの6社のインプラントメーカーのインプラントシステムを使用している歯科医院が多いでしょう。 そして、近年ではジルコニアという素材を使ったインプラントが開発、使用され始めてきており、金属を全く使わない「メタルフリー診療」をうたった歯科医院も出てきています。このように現在進行形で歯科治療ならびにインプラント治療は進化を続けているのです。

インプラントのメーカー それぞれの種類や特徴について
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2.インプラントとブリッジ・入れ歯の違いは?

歯を失った本数や場所も人それぞれ異なり、お口の中の状態によって治療法は変わってきます。 ほんの一例ですがイラストとともに、インプラントとブリッジ・入れ歯の違いを見ていきましょう。

ブリッジ

ブリッジ

歯を失った場所の両隣の歯を大きく削って支台歯とし、そこに連結された被せ物を接着する治療のことです。被せ物が橋(ブリッジ)渡しのような状態になっています。
ブリッジは支台歯と被せ物を接着剤で固定するので、取り外しができる入れ歯より違和感が少なく安定し、しっかり噛むことができます。
しかし、イラストのように支台となる歯を大きく削らなければならないこと、2本の支台で3本分の歯を支えるため、過度な負担がかかると支台となっている歯を痛めてしまい支台歯や被せ物が割れてしまうことがあります。
そのようなトラブルが起こると、ブリッジが使えなくなってしまい、ブリッジの再製作や他の治療法を行わないといけないリスクがあります。
ブリッジ治療のメリットとデメリットについて
インプラントとブリッジ5つの違い

入れ歯

入れ歯

イラストのように歯を失った場所は歯ぐきだけになってしまいます。そこに人工歯が並べてあるプラスチックでできた入れ歯を装着し歯を補う方法です。
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯があります。部分入れ歯であればクラスプという歯に引っかける針金があり、総入れ歯は大きいため、インプラントやブリッジと比較すると装着した時の違和感・異物感は強いでしょう。
部分入れ歯の多くはクラスプを残っている歯に引っ掛けて主に安定させます。クラスプをかけた歯は大きな負担がかかる上、クラスプ周囲が虫歯になりやすいため、早くダメになってしまう可能性があります。
総入れ歯は歯が1本も残っていない場合や歯の根っこが残っている(残根の)状態で使用される入れ歯です。歯ぐきや粘膜の形にピッタリと合う(吸着する)入れ歯を作ることで、維持・安定させます。逆に入れ歯が合わないと外れやすく、物が噛めずに痛みがでるなどの問題が生じてしまいます。

インプラント

インプラント

インプラントはブリッジ・入れ歯とは違い、大きく歯を削ったりクラスプをかけたりする必要がないので、健康な歯への影響や負担が少ない治療法です。インプラント治療は歯を失ったところにインプラントを埋め込み、独立した歯として機能するので、見た目も自然で自分の歯と同じような感覚で噛むことができると言う患者さんもいます。入れ歯を入れたときに患者さんが訴える異物感や味覚障害になりにくいのは大きなメリットでしょう。
また、インプラントと入れ歯を接続できる装置(アタッチメント)を利用すれば、入れ歯を安定させることができるので、外れやすい・噛めないという問題も解決してくれる役割を果たしてくれます(インプラントオーバーデンチャーといいます) 、ここではインプラントとブリッジ・入れ歯の違いを説明してきましたが、インプラントがいいことづくめでメリットしかない理想的な治療法に見えるのではないでしょうか。しかし、インプラントにも知っておかなければいけないデメリットがあります。次はインプラントのデメリットを紹介していきましょう。

インプラントで変わる生活-男性編-
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3.インプラントのデメリット

理想的な治療法に見えるインプラント。どんな治療法にもメリット・デメリットがあります。デメリットも把握し、理解を深めたうえで治療に臨むことが、後悔しない歯科治療をしてくうえで大切なことでしょう。

保険がきかない

ブリッジや入れ歯と違い一般的にインプラントは公的医療保険が適用されない治療で全額自己負担の自費診療となってしまいます。平均でもインプラント1本あたり400,000~500,000円が相場といわれています。
失った歯にはそれと同等またはそれ以上の価値があるということですね。決して手頃な値段ではないのでお財布としっかり相談することが重要です。
※インプラント治療も条件はありますが保険適用になる場合があります
※ブリッジ・入れ歯にも保険適用外のものがあります

インプラント義歯が保険適用になる条件とは
インプラント治療は保険適用されないの?
インプラント費用の総まとめ 平均相場と治療について

手術を行う必要がある

インプラント治療はあごの骨にインプラントを埋め込む外科手術が必要です。麻酔を打つので手術中に痛みを感じることはありませんが、麻酔の切れた術後に痛みや腫れ、内出血を伴うこともあるでしょう。
そして、手術を行うということは失敗するというリスクも考えられます。血管を傷つけてしまうことで大量の出血を起こす、神経を傷つけてしまい麻痺が残るなどの可能性は決してゼロではないのです。また、歯周病があればインプラントの成功率も下がります。術前の診査・診断がとても重要なので歯科医師からしっかり説明を受けましょう。

全身疾患がある方は注意

前述したとおりインプラントは手術を伴います。そのためどうしても身体に負担がかかるので全身疾患をお持ちのかたはインプラント治療ができない可能性があります。特に糖尿病、高血圧、骨粗鬆症のかたは注意が必要です。
飲んでいるお薬や全身状態によって、インプラント治療を受けることのできない場合もあります。このような全身疾患をお持ちのかたは、歯科医師に必ず申し出てインプラント治療が可能かどうかをしっかりと確認しましょう。

インプラント治療ができない場合とは

治療期間が長い

埋め込んだインプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)を待たないといけません。骨と結合する期間だけでも、およそ3~6ヵ月かかります。骨の量が少ない場合は骨を増やす手術も行わないといけないのでさらに時間がかかります。最終的な人工歯を被せるまでに1年近くかかってしまうこともあるのでしょう。ブリッジや入れ歯は型取りから数週間でできることを考えると、治療期間がとても長く感じますね。

定期的なメインテナンスが必須

インプラント、人工歯は虫歯になることはありません。しかし完成したらそこで治療は終了、一生使える…というわけにはいきません。インプラントを埋め込んだ部分のお手入れが不十分だと歯周病(インプラント周囲炎)にかかってしまうことが多々あります。せっかく高いお金を払って入れたインプラントが長持ちしないなんてことになりかねません。
普段のセルフケアが必要なのはもちろんですが、歯科医院でのプロによる定期的なメインテナンスが必須です。これはインプラントだけではなく天然歯にも言えることですが、トラブルが起きる前の「予防」が歯において一番大切なことだと思います(病気になって行く医科との大きな違いです)。インプラント周囲炎は治療が難しいので、インプラント周囲炎になる前に定期的にチェックを行い「予防」を心がけましょう。

インプラントのデメリットまとめ【解説つき】

4.インプラントの手術方法

インプラントを埋め込む手術には1回法と2回法の二つに分けられます。数字の通り、手術が1回で済むのが1回法で、手術が2回必要なのが2回法です。お口の中の状態、治療計画によって手術法が決められます。では、1回法と2回法はどのような違いがあるのかこちらもイラストとともに手術の過程を見ていきましょう。

インプラント手術 1回法

インプラント手術 1回法-1

1.歯を失った場所の歯ぐきを切開し、あごの骨を露出させドリルで穴を開けます。

インプラント手術 1回法-2

2.穴を開けたところにインプラントを埋め込みます。

インプラント手術 1回法-3

3.インプラントを埋め込んだらその上に土台となるアバットメントを取り付けます。
切開した歯ぐきを縫合したときにアバットメントが露出した状態になります。 この状態で歯ぐきの治癒、インプラントと骨の結合を待ちます。 歯ぐきが治癒するまでにはおよそ2~3週間、インプラントと骨の結合にかかる期間が、上あごでおよそ4~6ヵ月程度、下あごでおよそ2~3ヵ月程度かかるといわれています。
インプラントと骨の結合を確認する方法ですが、オステルと呼ばれる機器で結合度を測定し、数値データで表し結合状態を判断します。

インプラント手術 1回法-4

4.インプラントと骨が結合したことの確認ができたら、型取りを行い人工歯の製作にかかります。

【イラスト説明つき】インプラントの一回法手術(1ピース型)とは?
インプラント手術の流れ 切開が一度だけの一回法手術(2ピース型)メリット・デメリット

2回法

インプラント手術2回法-1

1回法と同様、インプラントを埋め込みます。

インプラント手術2回法-2

インプラントを埋め込んだら、インプラントの上部を歯ぐきで覆い縫合します。これが1次手術となります。
この状態でインプラントと骨の結合を待ちます。歯ぐきが治癒するまでの期間、インプラントと骨が結合する期間は1回法と同様です。

インプラント手術2回法-3

インプラントと骨が結合したことの確認が取れたら、インプラントを埋め込んだところの歯ぐきを再び切開し、土台となるアバットメントを取り付けます。これが2次手術です。 このように手術を2回行うのが2回法です。

インプラント手術2回法-4

その後歯ぐきの治癒が確認できたら、型取りを行い人工歯の製作にかかります。

なぜ2回も?インプラントで2次オペをする理由とは

1回法と2回法の特徴のまとめ

1回法の特徴
・手術が一度だけなので、身体への負担が少ない
・インプラントを埋め込むために十分なあごの骨の量が必要
・2回法で行うよりも治療期間が短い

2回法の特徴
・手術を2回行うため、1回法と比べ身体への負担は多い
・歯ぐきを縫合し蓋をしてインプラントと骨の結合を待つため、感染の可能性が低い
・1回法で行うよりも治療期間が長い