コラム COLUMN
どうしてもの痛みに耐えうるには
衛生士の庄司です。
一口に「歯の痛み」と言ってもいくつかの種類があります。皆さんが直ぐに思いつく「虫歯」以外にも「歯周病」や「親知らず」なども考えられます。それぞれポイントを見ていきましょう。
虫歯の痛みとメカニズム
虫歯は、お口の中にある細菌の出す「酸」によって歯が解けてしまうことで起こる症状です。初期段階では、歯のくぼみや歯の表面の象牙質が薄く溶け、冷たいものや熱いものがしみやすくなります。その歯を叩くと響くように痛むことも虫歯であることを特定する手掛かりになります。初期段階では歯磨きをすることで、一時的に痛みが治まるようなこともありますが、一度でも痛みを感じた時点で浸食した事実が消えることはありません。
少し良くなったと思ってそのまま放置していると、次回磨き残しなどが発生した際に更に前回溶かした箇所を深く浸食してしまいます。こうなることで、徐々に歯の中にある神経に近づいていき、痛みが強く感じられるようになっていくのです。
歯周病の痛みとメカニズム
歯周病とは、歯の根元付近に付着した細菌が歯茎の中で炎症を引き起こす「歯肉炎」と、それが慢性化して歯石となり、歯の根元部分の歯槽骨を溶かしていく「歯周炎」を総称した症状のことです。日本人の40歳以上のおよそ80%が何かしらの歯周病を患っていると言われており、歯周ポケットに溜まった歯周病菌が長い歳月をかけてゆっくりと歯周組織を破壊していく病気です。
初期段階では「痛み」を感じにくく歯もグラついてはいないため、どちらかと言うと「出血のしやすさ」が歯周病であるかどうかの判断材料になってきます。専門的には「歯周ポケットの深さ」や「歯周病菌の量」などを測って歯周病を判断しますが、普段歯を磨いている患者さまとしては「歯磨きの際に歯茎から出血していないか?」に気を配ることが大切です。
なお、歯がぐらついていて痛むという場合には、もうある程度歯周病が進行してしまっている可能性が高いです。簡単な治療ではありませんが、放置すると歯が抜け落ちてしまいますので、一刻も早く治療にお越しください。
親知らずの痛みとメカニズム
親知らずとは、「現代の私たちの骨格上もう必要のない奥歯」のことで、この歯が成長することで奥歯に強い痛みをもたらすケースがあります。個々の患者さまによって、親知らずの生え方や大きさにも違いがありますので、親知らずが確認できるからといって必ずしも直ぐに抜くべきだとは言い切れません。
痛まない場合には置いておいた方が後の治療に役立つケースもあり、一昔前のように「必ず抜いておくべき歯」という捉え方はされなくなってきています。 ただ、痛みを生じているケースでは健康な奥歯を圧迫してしまっていることが多く、この場合には早期の抜歯をおススメしています。
歯の痛みへの対処法(セルフケア)
歯の痛みに対処する場合には、歯医者さんに行くのがベストです。ところが、歯医者さんに行けないタイミングで歯が痛み出すこともあります。ここでは、応急処置という意味合いで「歯痛へのセルフケア」についてご紹介いたします。
市販の鎮痛剤を使用
薬局に行けば、歯の痛みを和らげるための市販薬を手にすることが可能です。どれを選ぶべきかわからないときは、常駐している薬剤師さんのアドバイスに耳を傾けると良いでしょう。夜中に急に痛み出すようなケースもないとは言えませんので、一家に一つ「歯の痛み止め」を備えておくと良いかもしれません。
痛い箇所を頬の側から冷却
ズキンズキンと歯が痛む場合、歯に繋がる毛細血管の血流が刺激となっているケースも考えられます。冷却シートや氷をタオルで巻いて頬の上から患部を冷やすと、血流が鈍り痛みが緩和できる可能性が高いでしょう。冷たさは感覚を鈍化させるという意味で一役買いますので、「頬の側から間接的に患部を冷やす方法」をお試しください。
手にあるツボで痛みを緩和
私たちの手には、歯の痛みを緩和させるツボがあります。歯痛がひどい場合には、次にご紹介するツボを強く押して刺激すると痛みが緩和するケースがあります。左右どちらがということはありませんので、痛い場合は以下の2箇所を両手それぞれで刺激してみましょう。
歯痛に効くツボ
●歯痛点(しつうてん)
中指と薬指の付け根の間くらいの位置に「歯痛点」というツボがります。手の甲ではなく手のひら側にありますので、このあたりを強く抑えたり、強めに揉んであげると良いでしょう。
●合谷(ごうこく)
「合谷」と呼ばれるツボは、歯痛点とは逆に手の甲の側にあります。場所としては親指と人差し指の付け根の間くらいの位置です。こちらは歯の痛みだけでなく、眼精疲労や肩こりなどにも効果があると言われています。このように緊急でやってみる価値のあるものはいくつかたりますので、実践してみてください。