コラム COLUMN
歯並びが滑舌に与える影響について
こんにちは院長の馬場です。
歯並びが悪いと見た目も悪く噛み合わせにも問題が生じしてしまうだけでなく、滑舌や発音にも悪影響を与えてしまいます。これは大問題ですよね。
また、「歯列矯正中は滑舌が悪くなる」という情報も飛びかっています。
これも気になるところですね。
今回は、歯並びと滑舌についてお話しします。
歯並びによる影響
歯並びは滑舌に大きな影響を及ぼします。歯と歯の間に隙間がある、下の歯の方が前に出てしまっている状態だと空気が漏れ発音しにくくなってしまいます。
歯が内側に傾いていると舌の動きに制限が出てしまい喋りにくくなります。無理に動かすと舌を傷つけてしまう恐れもあります。これは専門用語で、バクチネーターメカニズムなどといわれます。
舌癖による影響
無意識のうちに舌で歯を押していたり、上下の歯で舌を噛んだりなどの癖を舌癖といいます。
子どもによくみられる舌癖ですが、放置すると開口、すきっ歯、受け口など、歯並びが悪くなってしまい滑舌にも悪影響を及ぼしてしまうのです。
また、舌が上顎についていない低位舌の場合は、舌の筋力が発達しておらず、発音時に正しい舌の使い方ができない可能性があります。舌ったらずなどは低位舌などが原因の場合もあります。
加齢による影響
年齢を重ねるとともに、口の機能はだんだん衰えてきますが、それによって会話にも影響が出てきます。最近、滑舌が悪くなってきた、しゃべりにくいと思うことがあるようならば、口腔機能が低下している可能性もあります。
加齢によって滑舌が悪くなる原因としては、唾液が減少することで口の中の潤いが減り、舌が動かしにくくなることや、口の周りや舌の筋力の低下などがあげられます。(※1)
発声のメカニズムを知ろう
私たちは、息を吸うことで肺に空気を送り込み、吐き出すとともに声帯を振動させ音を発します。言葉を作り出す器官の中でも特に重要な場所が「舌」です。
その舌が歯並びや舌癖、加齢でうまく使えないと滑舌が悪くなってしまうのです。では、舌を正しく使うため、滑舌をよくするためにはどうしたらいいのか?
自宅でできるトレーニング方法をご説明します。
あいうべ体操でトレーニング!
あいうべ体操は福岡市みらいクリニックの内科医である今井一彰先生が考案した方法です。滑舌だけでなく、お口の中の健康にも大きな効果が得ることできます。プレオルソという矯正器具にも大きく関わっています。
(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)〜(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます(※2)
(声は出しても出さなくてもかまいません。)
あいうべ体操のポイント
あいうべ体操では、口腔周囲筋と呼ばれ、舌・頬・唇・顎などの筋肉をしっかりと使い鍛え、舌力がついて自然と口を閉じることができるようになります。
何より大切なのはあいうべ体操を継続すること。滑舌、口呼吸の改善の効果が期待できます。
体操をするタイミングは入浴時や就寝前がおすすめです。慣れない間は疲れがでるので、慣れるまで2〜3回に分けて行いましょう。
また、顎関節症、顎が痛いという人は、顎に負担をかけないよう、回数を減らすか、「いー」「うー」のみをくり返してください。この「いー」「うー」体操は、関節に負担がかからない発声法です。
歯列矯正装置は発音にどんな影響を与えるの?
日本に比べ欧米では歯列矯正が当たり前のように行われています。これは、「s」や「th」など使い分けが必要な発音があるからだといわれています。
日本も「さ行」、「た行」、「ら行」は歯並びの影響が受けやすく、見た目だけでなく歯の健康、滑舌のために歯並びを整える人が増えてきました。しかし、矯正中は滑舌が悪くなるという話も聞きます。
裏側矯正は滑舌が悪くなる!?
ワイヤーを使用した一般的な表側矯正、裏側矯正、マウスピース矯正方法など歯列矯正にも種類があります。
特に矯正治療中に見た目を気にしなくていい裏側矯正は滑舌が悪くなる、しゃべりづらくなるという情報が広がり本当のことが知りたいという人も多いと思います。
裏側矯正が滑舌に影響があるか、ないかでいえば、「ある」いえます。裏側矯正は、歯の裏側にブラケットを装着する矯正法です。本来は舌が滑らかに動く場所に矯正装置を装着するので、舌を置くスペースが狭くなってしまい、舌の動きも制限されてしまいます。
正しく美しい発音をするためには、唇や舌を数ミリ単位で調整しなければならないのですが、矯正中は微調整が難しく「滑舌が悪くなる」、「しゃべりづらくなる」と感じるのです。
もちろん、矯正が終われば滑舌や発音は元に戻り、しゃべりやすくなるので心配はいりません。なので、一時的ということです。
本八幡の歯医者 本八幡TaCファミリー歯科では矯正相談をいつでも受け付けております。
ご相談ください。
著者紹介
馬場 達也(ばば たつや)
「もし自分が患者様の立場だったら......」
私は診療中に、何度もこの言葉を自分自身に問いかけています。自分が目の前の患者様なら、どんな治療を受けたいだろうか。こんな説明で納得できるだろうか。
このような自問自答を繰り返しながら、丁寧な治療やわかりやすい説明を心がけてきました。
とくに患者様の痛みにはしっかり寄り添いたいと考え、可能な限り治療の痛みを軽減するためにあらゆる工夫をしています。
また、治療前後の画像をお見せして共に回復を喜び合ったり、疑問があればすぐにお答えしたりと、患者様との人間同士の関係を大切にしてきました。
もちろん患者様に信頼していただくため、治療技術を高めるための努力も惜しみません。
『一時的』ではなく『一生涯』の担当医として、皆様に寄り添えたらという思いで日々診療にあたっています。【本八幡TaCファミリー歯科】をどうぞよろしくお願いいたします。
- 経歴
- ・昭和大学歯学部 卒業
・日本歯科大学附属病院 研修
・町田駅前グレイス歯科矯正歯科 勤務
・けやき歯科 勤務
・本八幡TaCファミリー歯科 開院 - 所属
- ・歯科医師
・ファイナンシャルプランナー 2級
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・日本口腔インプラント学会 所属
・インビザライン(マウスピース)矯正認定医 - サーティフィケイト
- ・総合インプラント研修センター100時間コース受講