
コラム COLUMN
歯ブラシの重要性
歯科衛生士の庄司です。
みなさんが毎日行っている歯磨きですが、歯磨きの使用方法本当にまちがっていませんか?
知らないうちにお口の中にダメージをあたえている可能性があります。
歯磨き粉をつけたらすぐには磨かない!
みなさんが歯磨きをするとき、歯磨き粉をつけたらそのままお口へ入れて磨いていませんか?これはNGです。
なぜNGなの?
理由は、歯磨き粉が歯の特定の部分にだけたくさんついて、お口の中全体に歯磨き粉がいきわたらないからです。
歯磨き粉を歯ブラシにつけたらまず、歯全体に塗るようにしてから磨くか、歯磨きをする前に歯ブラシの毛の中に指で歯磨き粉が埋め込まれるように歯ブラシになじませてから磨くようにするとよいでしょう。
歯ブラシは水につけてからが正解?
歯磨きをするときほとんどの人が歯ブラシを水につけて濡らしてから使用するのではないでしょうか?
実はこの使用方法は間違いです。
“磨いた気”になる
歯ブラシを濡らしてから歯磨き粉(歯磨剤)をつけて行うと、よく泡立ちますよね。
そのため、少しの時間でお口の中が泡で満たされてきます。お口の中全体が泡だらけになればお口全体を“磨いた気”になりませんか?
磨いた気になったために、細かいところの汚れやプラークが落ちていなくて、雑に歯磨きをしたようになってしまいます。
また、歯磨き粉に配合されている成分も歯に作用する前に泡とともに流れてしまう可能性があります。
磨くときは乾いた歯ブラシに歯磨き粉をつけて磨くようにしましょう。
歯磨き粉のつけすぎも注意!
しかし、歯磨き粉のつけすぎには注意です。
歯磨き粉は歯ブラシの毛の部分のだいたい3分の1程度を目安につけるようにしましょう。
歯磨きは強くごしごしと?
歯磨きをするときに汚れが落ちるようにと強くごしごし磨いている方はいませんか?これも間違いです。
力を入れてブラッシングしてしまうことで、歯の表面のエナメル質や歯茎を傷つけてしまう原因となります。
歯ブラシは鉛筆持ちで!
歯磨きをするときは、鉛筆を持つように歯磨きを持ち、柔らかめの歯ブラシで細かく振動させながらやさしく磨くようにしましょう。
歯磨き後のうがいは何回も行う?
歯磨きを行った後に行ううがい。あなたは何度もうがいをしていませんか?
これも間違った歯磨きの方法です。
歯磨きをした後に何度もうがいをしてしまっては、お口の中に残っているフッ素などの成分も一緒に洗い流してしまいます。
そのためせっかくきれいに歯磨きしたのに歯磨き粉の効果が低減してしまいます。
うがいはコップ一杯にとどめる
うがいをするときはコップ1㎝ていど(10~15㏄)のお水でうがいをするようにしましょう。その後30分程度は飲食しないようにしましょう。
定期健診の重要性
しっかり磨けていると思っても自分の磨く“癖”や、磨けていない部分も出てくると思います。そのため歯医者さんへ行き定期検診やPMTCを受けてお口の中の健康を守りましょう。
歯を磨くという習慣は何千年も昔から存在しました。
では歯ブラシの原型はどのようなものだったのでしょうか。
昔の歯ブラシは・・・・
昔は当然現在の歯ブラシのような形の歯ブラシではありませんでした。昔は香りのよい樹木の枝を楊枝のようにしてくわえて、口腔内に良い香りを残していたそうです。
インドでよく使われているニームの枝
その楊枝がだんだん進化し、木の棒の端の繊維をほぐしブラシの役目にして使ったりもしたそうです。そのため小枝ブラシ、歯木などと呼ばれていたそうです。
時代が経つにつれこのような楊枝は房楊枝と呼ばれ多くの人に使用されてきました。明治時代の初めころには現在の歯ブラシに似たような形に変化しました。
しかし、現代と同じ歯ブラシができた当初は、あまり見かけない外見からか人々に見向きされなかったといいます。
歯を磨くではなく歯を拭く
では何を使って歯磨きしていたかというと、一般家庭では、布やスポンジを使って歯を磨くというより、歯を拭くという行為をしていました。そのころはまだ歯ブラシは高級品だったようで上流階級の人々や貴族の間でのみ使用されていたようです。
塩で歯磨き
また、塩で歯磨きをする時代もあったようです。塩には除菌作用があり塩で歯をこすることで歯の清掃をしていたのですね。また、塩水でうがいをすることも多くあったそうです。
近頃は健康という言葉に関心が高まっているためか、お口関係でも様々なケアグッズや補助用品が発売されています。
昔は歯ブラシのみで糸ようじやフロスを使用している人はほとんどいませんでしたが、今ではテレビCMでよく放送されていたりして多くの人が使用しています。電動歯ブラシを使っている人もたくさんいますよね。
電動歯ブラシの使用
電動歯ブラシを使うことで自分の手では落とせなかった細かいところの汚れまで落とすことができます。
昔は高くて買えない時代もありましたが、今では安く手に入るようになりました。
昔は木だったのに今では手動を超えて電動歯ブラシ。
歯ブラシの進化はすごいですね。みなさんの周りにもたくさんの種類の歯ブラシがあると思います。
それぞれ自分にあった歯ブラシでお口の中の健康を守り、健やかな歯を保ちましょう。
小さなお子さんがいるお母さん、お父さんの大変な仕事の一つに子どもの歯磨きがあるのではないでしょうか?
歯磨きが好きなお子さんであれば、良いのですが、歯磨きが嫌いで無理やり歯磨きをしている、歯磨きをさせるのが大変、苦手意識をもっているということをよく聞きます。
では、子どもに歯磨きを好きになってもらうにはどうしたらよいのでしょう。
- 離乳食を食べるようになったころから歯磨きを!
歯が少し生えてきたら歯ブラシに慣れるために、指にガーゼを巻き、水を少しつけて拭いてあげましょう。最初から歯ブラシをお口の中にいれてしまうと、赤ちゃんもびっくりしていまいます。また、飲み込み防止リングが付いた、赤ちゃん用の歯ブラシを持たせてみるのもいいかもしれません。
- お母さん、お父さんの歯ブラシ姿を見せる
子どもの前で楽しく歯磨きをしている姿をみせることで、子どもも歯ブラシは楽しいんだ!と思ってくれます。一緒に楽しく歯磨きするのもいいですね!
- 歌を歌いながら歯磨き
歌を歌いながらやることでとても楽しく歯磨きすることができます。NHKのお母さんといっしょ(http://www.nhk.or.jp/kids/program/okaasan.html)
の歯磨きコーナーで流れる歌などを歌ってあげると歯磨きしやすいかもしれませんね。
- 子どもの好きなキャラクターのついた歯ブラシを使う
ドラックストアなどで売られている市販の歯ブラシにはいろいろなキャラクターがついた歯ブラシを販売しています。子どもの好きなキャラクターの歯ブラシを使い、○○と一緒に歯磨きしよう!と誘ってみましょう。
- 仕上げ磨きは子どもに歯ブラシを!
お子さんが歯ブラシをうまく使う練習にもなります。自分でやりたがるようなら自分でやらせて、その後お母さんやお父さんがしっかり仕上げ磨きをしてあげてください。
子どもは初めからきちんと歯磨きができるわけではありません。お口の中で歯ブラシを動かす事が出来ただけでも「すごいね!」「上手だね!」と褒めてあげましょう。
むし歯や歯肉炎などがない健康なお口を保つ為にも、お子さんと一緒に楽しく歯磨きしましょう。
歯ブラシは細菌のすみか?
歯ブラシの中には細菌がうじゃうじゃ
みなさんが毎日何気なく使っている歯ブラシ。実はこの歯ブラシに付着している細菌の多さを知っていますか?
歯ブラシは一度の使用で細菌の数が便器と同じぐらい増殖すると言われています。便器と同じくらいの細菌を口の中に入れると考えただけでゾッとしますよね。
なんと1億個!!
イギリスのマンチェスター大学の調査では、歯ブラシに付着している細菌数はなんと1億個以上という結果がでたそうです。
しかし、人の口腔内にはもともと沢山の細菌が生息しています。そのため神経質になりすぎる必要はありません。
それでも、細菌がたくさんいる歯ブラシで歯を磨くのは気分的に嫌ですよね。では、歯ブラシはどのように管理していけばよいのでしょうか。
<歯ブラシの管理方法>
・ 使用した歯ブラシはしっかり洗う
歯ブラシの毛の部分に食べかすなどが残っていると、腐敗し、細菌が増殖します。
・ 歯ブラシは使用したらしっかり乾燥させる
濡れたままの歯ブラシは細菌が繁殖しやすくなります。携帯用歯ブラシを使用する人もしっかり歯ブラシを乾燥させてからケースに入れるようにしましょう。
・ 歯ブラシの使いまわしはしない
恋人や家族などと同じ1本の歯ブラシを使いまわすのはやめましょう。歯磨きを共有する事で、他人のもっている細菌を自分の口の中に入れる事になり、病気や感染症のリスクが上がります。
・ 歯ブラシを置く場所は清潔に
歯ブラシホルダーや歯ブラシを立てているコップなども清潔に保ちましょう。
また、複数の歯ブラシを1つのコップで保管する場合もブラシの毛先が触れ合わないようにしましょう。歯ブラシが触れ合って立ててあると他人と歯ブラシを共有しているのと同じになります。
・ 歯ブラシは月に1回の頻度で交換が理想
歯ブラシの毛先が広がっている場合などはもちろんですが、歯ブラシに問題がないように見える場合でも長期間使用することで沢山細菌が付着しています。
そのため1ヶ月に1回のペースで交換するようにしましょう。
毛先が広がっている歯ブラシはプラークの除去率が低下します。また歯茎を傷つけることもあるので交換するようにしましょう。
・ トイレに置きっぱなしにしない
トイレには空気中に見えない細菌が飛び散っています。そのためそこから付着して細菌が増えます。歯ブラシはできるだけトイレから離れた場所で保管するようにしましょう。
この他にもブラッシング後に殺菌効果のあるマウスウォッシュなどを使用するのも良いかもしれませんね。
毎日使用する物だからこそしっかり清潔に管理するようにしましょう。