義歯の汚れは食器と同じです。

コーヒーやお茶を飲めば着色しますし、油っぽいものを食べれば油汚れがつきます。

また、食べ物の汚れだけではなく、歯と同じようにプラークとよばれる細菌の塊がつきます。

義歯のプラークを放置すると、細菌が繁殖し、残っている歯の虫歯や歯周病の原因になるばかりではなく、口臭の原因になったり、カンジダ性口内炎によって歯ぐきの痛みの原因になることもあります。

また、日本人の死因別死亡率、第4位である肺炎の原因にもなります！

(肺炎は、義歯を含めた口腔ケアによって、だ液に含まれる細菌数を減らすことで、原因である細菌感染を予防し、その発症を防げるといわれています)

外出先での食事などでは、すぐに歯を磨けないこともあると思いますが、自宅での食事の後は、義歯を外して洗浄する必要があります。

たまに、義歯をいれたまま歯磨きをしている、という方がいらっしゃいますが、義歯は複雑な構造をしており、義歯と粘膜の間や、バネ(スクラブ)の周りなど、義歯を装着したままでは、洗浄が十分にできません。

小さい義歯でも必ず外して、手の平にのせて磨いて下さい。

義歯を洗浄する時は、落として破損したり、排水溝に流したりしないよう、洗面器などに水を張ってお手入れしましょう。

汚れが残りやすいバネ(クラスプ)の部分などは、特に丁寧に磨きます。

義歯用歯ブラシは、コシが強く、毛先も長めで使いやすいです。

油汚れは、中性洗剤を使うと落としやすいですね。

よく、歯みがき粉で洗えばいい？と聞かれることもありますが、歯みがき粉にはたいてい研磨剤が入っていて、義歯に細かい傷がついてしまいますので、使用しないでください。

また、熱湯やアルコールを使った消毒は、レジン(プラスチック)の変形や変質の原因になりますので、行わないでください。

就寝の際は、(歯科医師の指示がある場合を除いて)義歯は外してご就寝下さい。

義歯を装着したままだと、粘膜も休まらないですし、誤飲の恐れもあります。

義歯を外した際には、専用のコップやケースに水を入れて保管します。

義歯は乾燥に弱いので、外したまま置いておくと、ひび割れや変形の原因になることもあります。

必ず水に浸し、清潔を保つために、水は毎日交換しましょう。

入れ歯洗浄剤を使うと、さらに良いですね！

入れ歯洗浄剤は、殺菌、洗浄、消臭、歯石の予防、等の働きがあります。

さまざまな商品が市販されていますが、成分によって大きく「過酸化物系」「酵素系」「次亜塩素酸系」に分けられます。

「過酸化物系」は、もっとも普及しているタイプです。

発泡作用があり、泡の力で汚れや着色を取り除きます。

殺菌力はそれほど協力ではありませんが、消臭作用にも優れています。

部分入れ歯のバネ(クラスプ)が変色する可能性があるので注意が必要です。

「酵素系」は、酵素の働きを利用して、細菌や食べかすのタンパク質を分解して洗浄するタイプです。

入れ歯のレジンとよばれるプラスチック部分や、金属部分に及ぼす影響が少なく、安全性は高いのですが、漂白効果(ヤニや茶渋などの着色汚れを落とす効果)はほとんどありません。

「次亜塩素酸系」は、入れ歯洗浄剤の中では最も殺菌力が高いタイプです。

また、漂白作用にも優れています。

その反面、洗浄力が強いために長時間入れ歯を浸し過ぎると、入れ歯を痛めてしまう可能性があります。

浸潰時間は、15分のものから、一晩漬け置きというものまで様々です。

一般的にはぬるま湯(約40℃)の使用が効果的ですが、使用説明書に従ってください。

超音波洗浄機を併用すると、さらに効果的です。

メリット、デメリットを踏まえて、ご自身の悩みに合わせたものを選ぶようにしましょう。

使用している義歯にはどの洗浄剤が適当か、義歯の取り扱いなどでも、分からないことがあればなんでもご相談くださいね。

義歯は、使用していると摩耗してきて噛む面は消耗してきます。

また、粘膜も形状が変わったりすることがありますので、定期的に歯科医院でのチェックをすることも大切ですよ。